こんにちは。なおこ(@sakanao283)です。
先日観た、舞台「えんとつ町のプペル THE STAGE」について、まじでガチの本音の感想を書きます。
正直、褒めてません。
なのでそれを見たくない方はここでUターンして下さい。
了解したなら進んでね。
真面目です。そして長いよ。
「えんとつ町のプペル」の舞台化
これは、西野亮廣原作「えんとつ町のプペル」の舞台化という事で、私は期待して行ったんですよ。
西野亮廣ってエンタメの鬼みたいなイメージあるし。
でもね…これが、まあひどかったんです。
私は今までに何百回と舞台を観ているけど、今まで観た作品の中で一番ひどかった。
正直こんな感想は書きたくないです。
でも、伝えたいことが多いから、今日は誤解を恐れずに書きます。
歌について
まず、歌がひどい。
特にお父さんブルーノ役のなだぎ武さん。
もうね、あの完成度は、
「本当はもうちょっと歌がうまい俳優をキャスティングしてたんだけど何らかの理由で出れなくなったから急遽なだぎ武さんにした」
って感じでした。本当に歌唱がひどかった。しかもストーリーの中では非常に重要な、しかもわりと良い曲を2曲歌うんですよ。
これはね、誤解しないでほしいんですが、なだぎさんが悪いんじゃないんです。
「歌が苦手な俳優に、大事な曲を歌わせた制作側が悪い」
んです。
大事なナンバーなら、歌唱力のある俳優に歌わせるべきなんです。歌えないのなら、歌わなければいい。キャストは、わざわざ苦手なジャンルで勝負する必要なんてないんです。
全員が素晴らしい歌唱力を持っている必要なんてないと思います。
そういう、本気のミュージカルが見たければ、他にいくらでもある。選択権は観客側にあるし、ある程度のキャスティングで、「この作品はどこに比重を置いているか」というのがわかるもんです。
でも、この「えんとつ町のプペル THE STAGE」は、どの時点でキャスティングをし、どの時点でこの演出になったのだろうかという疑問しかありません。
曲をこんなに入れるなら、もう少し歌唱力のあるキャスト構成にするべきだったのではないでしょうか。
ミュージカルは歌詞がセリフです。
劇中の大切なセリフを歌にする事で、観客の心に強く訴える。それがミュージカルですよね。
ですが、歌唱のレベルがあまりにも低すぎると、
「歌がヒドイ」
という印象に全てが支配されてしまい、大切な歌詞が入ってこないんです。歌詞が入ってこないから、ストーリーがわからなくなる。
舞台は、基本1度きり
舞台というのは、「読み返す」とか、「もう一回観る」とかが、とても難しいエンタメです。
多ステするおたくはいるけど、ほとんどの人が1回観劇でしょう。
正直、その1回が勝負なんですよ。
途中で分からなくなったら終わりです。その1回で、どれだけわかりやすく、どれだけ面白く、どれだけ心に残る作品にできるかが勝負なんです。
わかりやすくなくても、何か、とても胸を打つ何かがあり、観た人が感動できたり、大切な何かを残せればいい。
舞台は、一人でやるものじゃないです。
特にミュージカルは、音楽、舞台美術、衣装、キャスト、音響、照明と、多くのセクションがあります。
とても大変だと思う。
でも、全てがまとまれば、それぞれの良さが何倍にもなり、それは感動という形になり私たちの心に落ちてくるものなんです。
「少ない時間でよくやった」なんて通用しない
「時間がなかった」
のでしょう。そうだろうとも。わかるよ。だから演出とキャスティングが合ってなかったのでしょう。
でも、そんなの観客には関係ない。
8800円払って、最高のものが観れないと意味がないんです。
決して安いエンタメではない。
感動体験ができなければ、その人は二度と舞台を観に行かないでしょう。
今後の演劇界とプペル
今、演劇界は、少ない牌を取り合っています。
これから、ますますその傾向は強まると私は思っています。
8800円は、例えば、「レ・ミゼラブル」のA席や、宝塚のS席とほぼ同じ価格帯です。
次にもしこの「えんとつ町のプペル THE STAGE」が再演したとして、今回観たお客さんは、次回また足を運ぶでしょうか?
少なくとも私は行きません。
終わりに
今回、何よりも残念だったのは、全員が本気だったということです。
キャストも、演出も、音響も照明も、舞台を構成するひとつひとつの要素は、全部プロの仕事でした。
そこに一切の妥協はなかったと思います。全員が、限られた時間の中で、持てる力を出し切っていたと思います。
もう少し時間があったら、もう少し話し合えていたら、もう一度演出プランとキャスティングを変更できていたら、この作品はきっともっとずっと良くなっていた。
と、全員が思っていたのではないでしょうか。
それが不幸でしかない。
原作の良さを、出せなかった、観ていて悲しくなった作品でした。

