なおこの宝塚レポ

【最後のモリアーティの意味とは?】宙組「シャーロック・ホームズ」ネタバレレポと感想

こんにちは!なおこです。めっちゃ遅くなりましたが宙組シャーロック、ネタバレを含むレポと考察です。

とりあえず概要。

『シャーロック・ホームズ-The Game Is Afoot!-』
~サー・アーサー・コナン・ドイルの著したキャラクターに拠る~/
『Délicieux(デリシュー)!-甘美なる巴里-』

日程:
2021年6月26日 ~ 8月2日(宝塚大劇場)
2021年8月21日 ~ 9月26日(東京宝塚劇場)

Musical
『シャーロック・ホームズ-The Game Is Afoot!-』
~サー・アーサー・コナン・ドイルの著したキャラクターに拠る~

作・演出/生田 大和

タカラヅカ・スペクタキュラー
『Délicieux(デリシュー)!-甘美なる巴里-』
作・演出/野口 幸作

公式サイトはこちら

これはあれか?ホームズってあのホームズなのかな?と思ってたらあのホームズだった。イギリスのベーカー街221Bに住み、ワソトン君という助手がいて、スコットランドヤード(ロンドン警視庁のことね)のレストレード警部と仲良しな、世界でいちばん有名な探偵!

ですがこの話は、ホームズが主人公でありながら、第一次世界大戦前のヨーロッパを描いた作品でもあります。

今回は歴史を交えて、この話がどんな背景を持つ話なのかをレポ形式で読み解いていきたいと思います!(1回しか見てないので間違ってたらごめん)

そしてモリアーティが生きていたのか?について私の想像と見解を最後に書いてみましたのでぜひ読んでみてね。

探偵というより007

さてホームズというと名探偵で、現場に残された物品などから犯人を推理し、レストレード警部と協力して事件を解決するっていうイメージですよね?

この作品は違います!全然探偵ものではありません。

イギリス社会に巣食う国家レベルの犯罪組織と命懸けで対決し、事件に一枚噛んでいる美女を救い恋もする、そして世界背景は第一次世界大戦直前みたいな、むしろハードボイルド、007かと思うような話です。

なのでホームズだと思って見ない方がいいかもしれない。ただ真風様はかっこいい。

モメてるアイリーンを見逃すな!

花ちゃん演じるアイリーンがなんか誰かとモメてるシーンからスタート。

実はここ結構大事なんです!大事なんですが、その後すぐにかっこよくてかわいい真風様が出てきて大活躍されるので、そこで記憶が上塗りされちゃうんですよね。

だからアイリーンモメてたな、っていうの忘れた人続出だと思う。私もその一人。

この話は、「ホームズとモリアーティの対決」と、「ホームズとアイリーンの恋物語」の2本建てなんです。だからアイリーンの動向は結構大事なんですよ!

切り裂きジャックの正体

ロンドンでは切り裂きジャックという連続殺人犯が4人も殺してるのが話題になっていて、ホームズはレストレード警部と一緒にそいつを捕まえようとしています。(けっこう怖い話)

でも切り裂きジャックの正体は1人の人間ではなく、「犯罪組織が作り上げた架空の人物」だったんですよ!

ほらもう007みたいな展開でしょ。そしてその組織のボスがキキ様(イケメン)。

キキ様は、なんというか厨二病全開です。銀色の髪。竜の刺繍みたいなの入ったロングジャケット。表向きは大学教授だけど、裏ではイギリス社会の闇を牛耳る犯罪組織のボス。何それかっこよすぎ。惚れる。

でもこの辺りで殺人犯がどうのとか言ってるあたりはまだかわいいんですよ。後半戦争になるかどうかみたいな話になってくるからね。

「暇だあぁぁぁぁ〜」アドリブ

宙組シャーロックホームズ、かなりアドリブが多いことが話題でしたね!前半の見どころの一つが、この「ひまひま真風ホームズとずんワトソンのやりとり」。

真風様はその躯体を優美に椅子に投げ出し、「暇だぁ〜」を連呼。私が行った日のアドリブは、

真風「暇すぎるぅぅ。(ステッキの持ち手の部分を小鳥に見立て、裏返った声で)『このままじゃ、退屈お化けが出ちゃうよ?』」

そして、じっとずんワトソンを見る。じーっと見る。明らかにバトンを渡されたワトソン、

ずん「た…食べちゃうぞぉ〜…」(それお化け?)

会場「?????」落ち込むずんちゃん。笑

そらレストレード警部

みんな大好き(私も大好き)な和希そらくん、今回はレストレード警部役。

レストレード警部ってホームズ作品には必ず出てくるんですが、大体「ずんぐりむっくりのヒゲおじさん」キャラなんですよね。

そらくんは「麗しさを3Dで表現したらこうなりました」を具現化したようなお方なので、レストレードもやたら麗しい!美しい!今まで見た中でこんなに麗しいレストレード警部いただろうか?

そらくんは声に厚みがあるのが特徴ですよね。声が素敵で、レストレード警部は劇中何度か怒号めいたセリフがあるんですが、それがもう全部素敵で、好き。

切り裂きジャックの本当のターゲットは!?

さて切り裂きジャックの話に戻りますよ。

ジャックはすでに4人殺してるんですが、さらに5人目の殺害予告をして来たのです!もちろん真風ホームズはそれを阻止してジャックを逮捕するべく、動きました。

で、うまいこと阻止できたんですが、ここで真風ホームズは違和感を抱きます。あまりにあっさり事が運びすぎていないか?本当の目的は他にあるんじゃないか?

そう、実はその通りでした。ジャックの5人目の本当のターゲットは、なんとアイリーンだったのです!

アイリーンは、今でこそオペラ歌手として成功していますが、実は以前キキモリアーティ様率いる犯罪組織(ジャックの正体)の構成員として働いており、ある重要な情報を握ったまま組織を逃げ出していたのですよ!!!

なぜ逃げていたのに目立つオペラ歌手なんかになったんだアイリーン!

国家の重要機密を持ったアイリーン

アイリーンの持つ重要な情報とは、「イギリス戦艦ドレッドノートの設計図」という、国家機密に関わるやばいやつでした!

ちなみに余談ですが日本語の「超弩級」ってあるじゃないですか。あの「ド」は「ドレッドノートのド」らしいですよ。超ドレッドノート級。知らなかったよね。はい余談終わり。

で、アイリーンはその設計図を持っているために、キキモリアーティ教授に付きまとわれます。

キキモリアーティ教授は中二病っぽいので、言う事がいちいち哲学めいていて、アイリーンにも、

「人類最大の罪は何だと思う?それは支配だ!他人を支配してきたことだ!だから私も支配し、私が新世界のメシア(救世主)となる!!!」

とかもう何言ってるんですかキキ様?????と客席をはてなマークで埋めるようなセリフをバンバン吐きます。うん好き。

で、真風様ホームズとアイリーンは昔なんか一瞬いい感じになってた時があったらしく、恋の炎が再燃しつつもキキ様からアイリーンを守るという、ホームズってなんだっけ?名探偵じゃなかったっけ?むしろこれやっぱり007だよね?という展開になっていきます。

モリアーティから世界を守れ!女王陛下のパーティー

そしてホームズは、「モリアーティがビクトリア女王主催のヨーロッパ各国の大使を呼んだパーティーでなんかやらかす」という情報を掴みます。

時代背景を説明しておくと、この頃のヨーロッパは第一次世界大戦直前で、「イギリス・フランス・ロシア」 VS 「ドイツ・オーストリア・イタリア」のように同盟国同士で争うような形になっていました。

なんか大きな戦争起こりそうだなー、という感じで、各国は軍備を増強していた頃です。(だからイギリスも巨大戦艦ドレッドノートとか造ろうとしてたんだね)

そんな時に何かやらかされたら大変なので、ホームズは、レストレード警部と一緒に一計を案じます。

それは、各国大使に扮した警察官をいっぱいパーティーに潜り込ませておくというものでした!

いや、これもう一介の探偵と警部のやることじゃないよね。だってヨーロッパが戦争に突入するかしないかという大事な局面ですよ!CIAとか公安の出てくるレベルの話ですよ。

結局モリアーティの企みとは、イタリア大使に扮してロシア大使を殺害するというやばいもので、ホームズ側はそれを阻止することに成功します。

(なぜイタリアとロシア?と思いますが、この2国がモメるということは、それぞれと同盟を組んだ各国を巻き込み、ヨーロッパ全体が大きな戦争に発展する可能性があるということなのです!ほらやばい!)

でもホームズたちの一計を知らないモリアーティは、作戦がうまくいったと思い込み、ヒャッハーしながらどっかに逃げていきます。(スイスだっけ?)なんというか詰めが甘い。

最後の対決!ホームズ VS モリアーティ

そしてキキモリアーティを追いかけていった真風ホームズ。2人は滝の前で最終決戦をします。

相変わらず「この世から戦いがなくならないのはなぜだと思う?それはみんなが自分を正しいと思っているからだ!」など哲学めいたセリフを吐くキキモリアーティ様。(イケメン)

ステッキに仕込んだ剣で切り合うといういかにもな戦いを繰り広げ、最後は2人して滝に落ちるという、最後まで007のような話でした!

モリアーティが生きていた意味

でもそこは宝塚、結局真風様ホームズは生きていて、最後アイリーンと再開して結ばれるというハッピーエンド。

花アイリーン「滝に落ちたんじゃなかったの?」
真風ホームズ「横穴があって助かったんだ!」(←そんなことある!?)

これぞ宝塚ですね!良い。好き。

でも、最後の最後に、2人は、キキモリアーティ(だと思われる人)とすれ違うんです。

ここからは私の想像ですが、話の中でモリアーティは、ヨーロッパに戦争を起こそうと企んでいました。この話ではホームズがそれを防ぎましたが、結局史実では、ヨーロッパはある小さな事件をきっかけに第一次世界大戦へとなだれ込んで行きます。

モリアーティが生きていたかのような描写がここでされたということは、結局ヨーロッパと世界はこの後人類史に残るような大戦争を起こしてしまうのだ、という歴史につながる示唆であると私は思いました。

「モリアーティ=闇」という概念的な捉え方でもいいかもしれません。

モリアーティ一味は武器の密売を行っていました。戦争になれば武器が売れる。自分たちは儲かる。だから戦争を起こす。歴史の裏にはそういう組織が暗躍している可能性は十分にあります。

脚本の生田先生はそんなことを考えてこの作品を書かれたのかなぁ。

と思いましたよ。どうでしょう先生?

そんな宙組シャーロック・ホームズのネタバレ感想でした!最後までお読み頂きありがとうございました。

宝塚のチケットの取り方を解説しています!ぜひお読み下さい。

1番のおすすめは今んとこ生協コープデリです!貸切公演もあるよ。

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